細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』芦田愛菜&岡田将生が挑む“生きる”意味とは?

細田守監督の待望の最新作『果てしなきスカーレット』が、2025年11月21日に公開されます。本作で、かねてよりその類稀なる才能が注目されてきた女優の芦田愛菜さんと、実力派俳優の岡田将生さんが、細田監督作品に初参加することが発表され、大きな話題を呼んでいます。

この記事では、『果てしなきスカーレット』の最新情報から、芦田愛菜さんと岡田将生さんが演じる役どころ、そして細田監督が本作で問いかける“生きる”という深遠なテーマについて、詳しく掘り下げていきます。


『果てしなきスカーレット』とは?細田守監督が描く新たな物語

「時をかける少女(2006)」、「サマーウォーズ」、「おおかみこどもの雨と雪」、「バケモノの子」、「未来のミライ」、「竜とそばかすの姫」など、数々の傑作を生み出し、日本のみならず世界中で高い評価を得てきた細田守監督。その最新作となる『果てしなきスカーレット』は、監督自身が「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」と語る通り、“生きる”という普遍的かつ深遠なテーマに正面から向き合った作品となっています。

物語の中心となるのは、父の復讐に失敗し、“死者の国”で再び宿敵への復讐を果たそうとする中世の王女・スカーレット。そして、そんなスカーレットと旅を共にすることになる、心優しい現代の日本人看護師・聖(ひじり)。異なる時代、異なる価値観を持つ二人が、“死者の国”で出会い、共に旅をする中で、一体どのような答えを見つけ出すのか。細田監督ならではの圧倒的な映像美と、心を揺さぶる人間ドラマが期待されます。


復讐に燃える王女「スカーレット」:芦田愛菜の新たな挑戦

芦田愛菜が演じるスカーレット像

本作の主人公、中世の王女スカーレットを演じるのは、芦田愛菜さんです。彼女が演じるスカーレットは、元々は戦いよりも平和を望む父親を尊敬する心優しい王女でした。しかし、目の前で父親を殺されたことから、復讐という狂気にとらわれていきます。

この役どころは、復讐相手に怒りを露わにし、アクションシーンでは声を張り上げる一方で、自身の復讐心に対して苦悩するなど、感情の起伏が激しく、同時に繊細さも求められる非常に難しい役です。さらに、スカーレットの子ども時代と19歳の姿が描かれ、当時19歳だった芦田さんが豊かな声色で演じ分けています。

これまで「怪盗グルー」シリーズや「映画 えんとつ町のプペル」など、数々のアニメ作品に出演し、その表現力の高さを示してきた芦田さんですが、細田監督作品への参加は本作が初めて。新たな境地を切り開く彼女の演技に、期待が高まります。

細田監督も絶賛!「凄まじい演技の連続」

細田監督は、芦田さんの演技を「スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。凄まじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。」と惜しみない賛辞を送っています。

また、「復讐に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依しています。彼女の可愛らしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身悶えするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころのひとつです」と語っており、芦田さんがスカーレットというキャラクターに深く入り込み、その複雑な内面を見事に表現していることが伺えます。

芦田さん自身も、スカーレットを演じることの難しさを語っています。 「スカーレットは、中世の王女で私と同世代の19歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。」 「監督から『現代の19歳と中世を生きる19歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい』と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス1世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて“これだ!”と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体に馴染む感覚がありました。」 このコメントからも、彼女がどれほど役作りに真摯に向き合い、全身全霊でスカーレットを演じたかが伝わってきます。


心優しい看護師「聖」:岡田将生が挑むアニメ声優初挑戦

岡田将生が演じる聖のキャラクター

スカーレットと旅を共にする心優しい看護師・聖(ひじり)の声を担当するのは、岡田将生さんです。本作で長編アニメ作品の声優に初挑戦となる岡田さんが演じる聖は、現代日本で日々命と向き合う生活を送る看護師。ある日突然“死者の国”で目を覚まし、そこで傷つきボロボロになったスカーレットと出会います。

傷ついた人を癒すことを使命としている聖は、スカーレットに何の見返りもなく手を差し伸べます。最初は反発するスカーレットも、次第に聖との関係に変化が訪れるようです。なぜ自分が“死者の国”に迷い込んだのか分からないまま、スカーレットの旅を支え、バディとなる重要なキャラクターです。

岡田将生と聖の人間性

細田監督は岡田さんについて、「演技が上手くて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。“聖ってこういう人かもな”と、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。」と語っています。

さらに、「聖は、命に関して真摯に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったり噛み合っている、と強く思わせられました」と、岡田さんの存在が聖というキャラクターを作り上げる上で非常に大きかったことを明かしています。

岡田さん自身も、声優初挑戦の難しさと、聖という役への思いを語っています。 「長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。色々なアニメを観させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。」 「僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐に燃えるスカーレットの鞘(さや)のような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。」 彼の言葉からは、声優という新たな挑戦への真摯な姿勢と、聖というキャラクターへの深い理解が感じられます。


芦田愛菜&岡田将生:5年ぶりの共演とプレスコ収録

芦田愛菜さんと岡田将生さんは、映画「星の子」以来、5年ぶりの共演となります。当時の舞台挨拶では、「次は仲の良い役で共演したい」と話していた二人。復讐に取り憑かれたスカーレットと、すべてを癒し包み込もうとする聖が、どのような旅路を辿るのか、二人の関係性の変化も本作の大きな見どころとなるでしょう。

細田作品初のプレスコ収録

本作では、細田監督作品として初めての試みとなるプレスコアリング(以下、プレスコ)という収録方法で制作されました。プレスコとは、まだ映像ができていない段階で、キャストの声を先に収録し、その声に合わせてアニメーションを制作していくという手法です。これにより、キャストの声の演技を聞いて、制作側が後からアニメーション表現を組み立てるため、いわば実写作品と同じような作り方になります。

芦田さんと岡田さんは、1年前にプレスコを行い、今回改めてシーンに合わせてアフレコを行いました。プレスコはそれぞれ別の収録だったようですが、アフレコでは二人が一緒に収録したとのこと。 芦田さんは「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています」と語り、岡田さんも「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています」とコメントしています。

プレスコによる演技が、キャラクターの感情表現にどのような深みをもたらしているのか、完成した作品を観るのが非常に楽しみです。


『果てしなきスカーレット』が問いかける“生きる”意味

細田監督が本作で問いかけるのは、「人は何のために生きるのか」という根源的な問いです。復讐という狂気に取り憑かれたスカーレットと、傷ついた人々を癒そうとする聖。対照的な二人を通して、監督は観客に“生きる”ことの意味を共に考えてほしいと願っています。

芦田さんも、作品が持つメッセージについて言及しています。 「スカーレットは、復讐に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、愛おしく、まっすぐ駆けていく姿は、観てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。」 「混沌とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います。」

岡田さんもまた、観客へのメッセージとして語っています。 「スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか…感じ取っていただけたら嬉しいです。」

私たちは今、混沌とした時代を生きています。そんな中で、『果てしなきスカーレット』が描く物語は、私たち自身の“生きる”ことへの問い直しを促し、そして明日への希望を与えてくれるのではないでしょうか。


新ビジュアルも公開!

公開に合わせて、幻想的な世界で剣を構えるスカーレットと聖が描かれた新ビジュアルも披露されました。このビジュアルからも、壮大な物語の幕開けが感じられます。

細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』は、2025年11月21日から公開されます。芦田愛菜さんと岡田将生さんの熱演、そして細田監督が描く“生きる”ことの意味を問いかける壮大な物語を、ぜひ劇場で体感してください。

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