旭山動物園とシマエナガの未来:メガソーラー計画がもたらす絶滅の危機と市民の声

現在、旭山動物園では「Zero Carbon ZOO」を目指し、地球温暖化対策の一環として太陽光発電設備の導入を計画しています。これは主に園内のエネルギー消費を再生可能エネルギーで賄うことを目的としており、環境負荷の低減と情報発信の拠点化を目指すものです。現時点での情報では、この計画が大規模な「メガソーラー」を伴うものではなく、園内の既存施設や空きスペースを活用した導入が前提とされています。

しかし、旭川市が「GX・DX産業の集積に向けたゾーニング検討業務」として、再生可能エネルギーの大規模導入促進に向けた調査を進めていることが明らかになりました。このゾーニング検討には2,200万円の税金が投じられ、6月30日には委託希望企業のプレゼンテーション、7月初旬には委託契約が締結される予定です。この動きに対し、市民からは「シマエナガの生息区域を奪うメガソーラー計画に反対する」という声が上がっており、署名活動も展開されています。

旭山動物園周辺の自然とシマエナガの危機

旭山動物園の近くには、手つかずの美しい自然が広がっており、北海道のシンボルとも言えるシマエナガの貴重な生息地となっています。シマエナガは北海道全域の広葉樹林や針葉樹林、公園、都市部の緑地など、樹木が豊かな場所を好んで生息しています。夏は深い森で繁殖し、冬には平野部や市街地にも姿を見せ、その愛らしい姿で多くの人々を魅了しています。旭川市周辺もシマエナガの生息域に含まれており、この美しい自然環境は私たち市民にとってかけがえのない財産です。

しかし、旭川市が進めようとしている「GX・DX産業の集積に向けたゾーニング検討業務」は、将来的に旭山動物園周辺での大規模な再生可能エネルギー施設の導入、つまりメガソーラー建設へとつながる可能性を秘めています。メガソーラーの建設が森林や草地の伐採を伴う場合、野鳥の生息地消失や生物多様性の損失など、生態系への深刻な悪影響が懸念されます。土地利用の変化は生息地の断片化を引き起こし、シマエナガをはじめとする野生生物の個体数減少に直結するリスクもはらんでいます。

現段階で旭山動物園の太陽光発電導入計画が、シマエナガの主要な生息区域を大規模に奪うという具体的な事実はありません。しかし、市のゾーニング検討は、動物園周辺の自然林を大規模に伐採してメガソーラーを建設する可能性を否定できません。もし、そのような計画が進めば、シマエナガを含む野生生物の生息地に致命的な悪影響を及ぼすことになります。

メガソーラーがもたらす環境への懸念

再生可能エネルギーの導入は、地球温暖化対策として重要であることは疑いようがありません。しかし、その導入方法によっては、かえって自然環境を破壊し、生物多様性を脅かす結果となることもあります。特に、森林を大規模に伐採して建設されるメガソーラーは、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。

1. 生息地の消失と生物多様性の損失

メガソーラー建設のための大規模な森林伐採は、シマエナガをはじめとする多くの野鳥や野生動物たちの住処を奪い去ります。森はただの木々の集まりではなく、複雑な食物連鎖と生態系が築かれている場所です。生息地が失われることで、それぞれの生物が持っていた役割が失われ、生態系全体のバランスが崩れる可能性があります。これは、単に特定の種の個体数が減少するだけでなく、長期的に見て地域の生物多様性そのものを損なうことにつながります。

2. 土砂災害のリスク増加

森林は保水能力が高く、土砂災害を防ぐ役割も担っています。大規模な森林伐採は、地盤の安定性を損ない、豪雨時などに土砂崩れや洪水のリスクを高める可能性があります。北海道のような豪雪地帯では、積雪による負荷も考慮する必要があり、一度自然が破壊されてしまえば、元に戻すことは非常に困難です。

3. 発電効率と維持管理の課題

太陽光発電は天候に左右される不安定な電源であり、積雪の多い旭川市では冬場の発電効率の低下が避けられません。また、太陽光パネルの清掃やメンテナンス、さらに寿命が来た際の廃棄方法についても、完全に確立されたシステムがあるとは言えません。不適切な処理は、新たな環境汚染を引き起こす可能性も指摘されています。

4. 景観の破壊と地域社会への影響

広大な敷地に設置されるメガソーラーは、地域の美しい景観を損なうだけでなく、周辺住民の生活環境にも影響を与える可能性があります。光の反射による眩しさや、工事中の騒音、さらには心理的な圧迫感など、様々な問題が生じることも考えられます。

釧路市の先行事例と旭川市への提言

すでに、北海道内の他の自治体では、メガソーラーによる自然破壊の懸念に対し具体的な動きを見せています。例えば、釧路市は「ノーモアメガソーラー」を宣言し、メガソーラー開発を規制する条例制定に向けて動き出しています。これは、地域住民の自然環境保護への意識の表れであり、持続可能な地域づくりを目指す上で重要な一歩と言えるでしょう。

旭川市も、この釧路市の事例に倣い、無駄なゾーニング調査に税金を費やすのではなく、市民と真摯に議論し、メガソーラーによる環境負荷を規制する条例を制定すべきです。

具体的な提言としては、以下の点が挙げられます。

  • ゾーニング検討の即刻中止: 2,200万円の税金を投じるゾーニング検討業務を直ちに中止し、委託契約の締結を撤回すべきです。
  • 市民との徹底的な議論: メガソーラー設置の是非や、持続可能なエネルギー政策について、市民を交えた開かれた議論の場を設けるべきです。
  • 環境負荷規制条例の制定: 釧路市と同様に、大規模太陽光発電施設の設置による自然破壊を防止するための条例を制定すべきです。
  • 自然環境への配慮を最優先: 再生可能エネルギー導入の計画を進めるにあたっては、経済合理性だけでなく、地域の自然環境と生態系への影響を最優先に考慮すべきです。

脱炭素化は重要な課題ですが、それが地域の宝である自然環境を犠牲にして進められるべきではありません。シマエナガが安心して暮らせる美しい自然を次世代に引き継ぐためにも、旭川市には慎重かつ責任ある判断が求められています。市民一人ひとりの声が、この美しい自然を守る大きな力となるでしょう。

まとめ

旭川市が進めようとしているGX・DX産業の集積に向けたゾーニング検討業務は、メガソーラー建設の可能性を含んでおり、シマエナガをはじめとする地域の生態系に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。再生可能エネルギーの導入は重要ですが、それは地域の自然環境や生物多様性を犠牲にしてまで進めるべきものではありません。

旭川市には、釧路市の事例を参考に、メガソーラーによる環境破壊を規制する条例の制定を検討し、市民との対話を通じて、持続可能な形での再生可能エネルギー導入を目指すことが求められています。私たち市民も、この美しい自然を守るため、声を上げ続けていく必要があります。

未来の世代に豊かな自然環境を残すためにも、経済的利益だけでなく、環境保全と生物多様性の維持を最優先とした慎重な判断が不可欠です。シマエナガが安心して暮らせる環境を守ることは、私たち人間にとっても、より良い未来への投資となるのです。

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